Ecole de français du Kansai -Traduction, Interprétariat, Guide-
   
    目  次  
はじめに
 ひところ日本では大変なワインブームが起こりました。バブル絶頂期には有名な女優さんが赤ワインに含まれるポリフェノールが美容にも健康にもいいと言ったりしたこともあって、なん万円もするワインが飛ぶように売れたなどという話も聞きました。そんなブームも最近はすっかり落ち着いて、ワインは大人の飲み物としてしっかり定着したようです。
 一方、ボージョレ・ヌーヴォーは時差の関係で日本が世界で一番早い解禁地になるということもあってこちらも大ブームとなり、11月第3水曜日の盛り上がりはまだ続いているようです。ワインの良し悪しや好みとは無関係なこのお祭り騒ぎは商業主義に乗せられたものであることは間違いなく、筆者は「節分の恵方巻ワイン」と呼んで距離を置くようにしています。
 フランス語を学んでいると、どうしてもワインの知識が必要な場面があると聞きます。ワイン好きとしては「ワインは旨けりゃいいや」というのが本音ですが、それでも原料となるブドウの品種や生産地ごとの特徴、生産年と飲み頃の時期、相性のいい料理など、少しばかりの知識があれば楽しみの幅はぐんと広がります。自分でワインを選ぶときにお店の人に希望を伝えやすくなりますし、人に勧めるときもより具体的に説明できたりします。そして、なによりも人は飲み食いの話題が好きです。家族や友人とグラスを傾けあうとき食卓の話題を豊かにしてくれるワインのお話を始めましょう。
 まあ、筆者はたいして呑めもしないくせにワインが好きで、そのうえ裕福なわけではないので世に名高いロマネ・コンティやシャトー・ムートン・ロッシルドなど香りすら嗅いだこともありません。単純にワインを楽しみたいという筆者のただのコラムとして気楽に読み飛ばしてください。深く勉強したいという方はワインスクールに通ったり書店に並んでいる著名なソムリエの解説本やソムリエ試験の参考書を読んだりして、あとはテイスティングを繰り返すしかありません。
お話の主人公はフランスワインですが、時にはヨーロッパのほかの国や新世界にも飛んで行くことがあります。