Ecole de français du Kansai -Traduction, Interprétariat, Guide-
   
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 ④ワインづくり その1

 赤ワインは、黒ブドウを果皮や種ごとつぶして果皮の色を抽出するとともに、果皮についている酵母の力で発酵させて作ります。白ワインはブドウの果汁だけを発酵させて作るのが普通です。ロゼワインは、黒ブドウを赤ワインと同じように仕込んで発酵途中で皮や種を取り除く方法(液抜き=セニエ)と、黒ブドウを圧搾して果皮の色が出た果汁を発酵させる方法の2つがあります。
 醸造工程を厳密に規定しているAOPやIGPの認証報告書とまではいかなくても、ワインを紹介した本や生産者のホームページなどを見ると、どういう方法でワインを作っているかがある程度わかるものです。発酵の途中でもいろいろ手をかけますし、できたワインをどう貯蔵するか、熟成方法は?など、ワインづくりをよく知ることはただの酒飲みから一歩脱却することにもなりますね。
 ワインは、発酵、熟成、瓶詰めと大きくは3つの工程を経て私たちの手に渡ります。その工程を簡単に紹介しておきます。出てくる用語の詳細はさらに下でフランス語対訳でまとめます。
・赤ワインの醸造工程
①醸し(かもし):収穫したブドウを丸のままか潰して発酵槽に漬け込む。この段階で果皮に付いた酵母の働きでアルコール発酵が始まる。通常開放した状態で行うが、発酵を早く進めたい場合は蓋をして、発生する炭酸ガスを充満させた状態にする。これを炭酸ガス浸漬法と呼ぶ。
②1次発酵:醸しの状態で櫂突きまたは底のほうのワインをポンプで汲み上げて上からかけるルモンタージュ(循環)という作業で空気を混ぜながら放置するとアルコール発酵が進み、果皮の色やタンニンが抽出されてワインの原型ができる。
③濾過:1次発酵の終わった原液を絞って原酒と果皮とに分ける。濾過のタイミングによってワインの色やタンニンの強さなどが決まる。
圧搾果汁を使わないロゼワインは赤より早い段階で濾過する。これを液抜きと呼ぶ。
④2次発酵:濾過した原酒にはまだ糖が含まれているのでさらに発酵させる。
⑤乳酸発酵:原酒に含まれるリンゴ酸を乳酸菌の働きで分解し、ワインにまろやかさを与えるための発酵。
⑥澱引き:原酒を静置して澱を取り去る作業。原酒の段階で数回、熟成中にも行うことがある。
⑦清澄:澱引きが終わってもタンニンと結びついた微細な浮遊物で濁っているワインを清澄剤で澄ませる作業。撹拌した卵白を混ぜて浮遊物と結合させて取り除く。
⑧アッサンブラージュ(ブレンド):品種ごとに醸造したワインをブレンドして完成品にする作業。使う品種やブレンドの割合で生産者ごとの個性が生まれる。アッサンブラージュしない単一品種のワインもある。
⑨熟成:でき上ったワインを樽やタンクに詰めて熟成させる。熟成期間はまちまちで、数か月から数年、時に10年以上樽熟成するワインもある。瓶詰めしてからも熟成は続くため、出荷まで数年寝かせることを義務付けられているワインもある。
・白ワインの醸造過程
 ①澱下げ:ブドウを潰して自然流下した果汁か圧搾した果汁を発酵槽に静置して澱を沈殿させ、取り除く。
 ②アルコール発酵:赤ワインの2次発酵のような状態で糖をアルコールに変えていく。
 ③乳酸発酵:フレッシュな酸味を持ち味とする白ワインでは行わないことが多い。
 ④澱引き:
 ⑤清澄:白ワインはタンニンが少ないため卵白は使わず、主としてベントナイトという泥が使われる。
 ⑥アッサンブラージュ:
 ⑦熟成:赤ワインと同様の作業だが、熟成期間はおおむね赤より短い。
・シャンパーニュの醸造過程
 ①澱下げから澱引きまでの工程は白ワインとほぼ同じ。
 ②瓶内発酵: 耐圧瓶に瓶詰めし、酵母と餌となる蔗糖を補って密閉した状態で2次発酵を行い、ワインに炭酸ガスを閉じ込める。
 ③動瓶と口抜き:2次発酵の終わったシャンパーニュの澱を瓶の口に集め、その部分だけ凍らせて取り除く作業。
 ④ドサージュ:口抜きしたあと目減りした分「門出のリキュール」を足す作業。
 なお、シャンパーニュの場合品質を一定に保つため製造年の違う原酒をブレンドすることが認められている。エチケットに製造年が入っているシャンパーニュは特にできのいい年の原酒だけで造られたもので、たいへん高価。
 また、シャンパーニュ以外の発泡性ワインの中には補糖せずに瓶詰めして、アルコール発酵の一連の流れで瓶内発酵を行うものもある。
次回は、そんなワインづくりに関する用語と意味を紹介していきます。