Ecole de français du Kansai -Traduction, Interprétariat, Guide-
   
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 Bordeaux(ボルドー)3: 1936。Gironde(ジロンド)県とHaute-Garonne(オート・ガロンヌ)県にまたがる産地全域をカヴァーする広域アペラシオン。

21.Graves Supérieures(グラーヴ・シュペリゥール)ボルドー:1937。グラーヴの42のコミューンで生産される甘口白ワインだけの地域アペラシオン。土質は砂礫混じりの石灰質粘土。
セパージュはセミヨン、ソーヴィニョン・ブラン、ミュスカデル。アルコール度数12.5度以上、糖度18g/ℓ以上。柑橘や桃の香り。魚料理にも合わせられるが、甘いデザートとともに味わうのがおすすめ。

フロンサックの畑 フロンサックのシャトー

   
グラーヴのシャトー シュペリウール
グラーヴ・ドゥ・ヴェールのChâteau de Vayres

甘口白

22.Haut-Médoc(オー・メドック)ボルドー:1937。メドックのうちガロンヌ川上流部に点在する29のコミューンの地域アペラシオン。マルゴー、ポイヤック、サンテステフなど独立したAOCを取得している著名な産地がきら星のごとく連なる。土質はカベルネ・ソーヴィニョンの栽培に向く水はけのよい砂礫混じり沖積土とメルローの栽培に適した深い石灰質粘土が段丘によって変わる。
赤:主要品種カベルネ・ソーヴィニョン、メルロー。補助品種プティ・ヴェルド、マルベック。18か月以上樽で熟成してから瓶詰めされる。赤と黒のベリーや甘草の香りで、スパイシーな樹木系のアロマがある。複雑で生き生きした力強い味わい。熟成期間は5~20年。

23. Lalande de Pomerol(ラランド・ドゥ・ポムロル)ボルドー:1936。ドルドーニュ川右岸のLibournais地区にあるLalande de PomerolとNéac(ネアック)という2つのコミューンで作られる赤ワインの村名アペラシオン。土質は大きめの礫が混じる石灰質粘土。
主要品種:メルロー、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニョン。補助品種:コット(ほとんど使われない)。ザクロのような濃いルビー色。香りはきわめて印象的で、赤い小さな果実に加えて、熟成するとプルーン、皮革、野生動物、カカオなどのブーケが広がる。口に含んだ印象はがっしりして豊満、香り高くビロードのような舌触り、十分なタンニンが残っているが決してきつくはなく、香りと味のバランスが緻密に取れている。熟成期間は5~12年。
 

オー・メドックの畑          

Saint-Aubin-de-Medoc村の教会  
 

ラランド・ドゥ・ポムロルのシャトー  

Lalande de Pomerol   
 

Listrac-MédocSaint Martin教会

 リストラック・メドックのカーヴ  

24. Listrac-Médoc(リストラック・メドック)ボルドー:1957。オー・メドックのListrac-Médocというただ一つのコミューンで作られる赤ワインだけの村名アペラシオン。土質は水はけのいい砂と礫混じりの粘土。
主要品種:メルロー、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニョン。補助品種:プティ・ヴェルド、カルメネール、コット(タンニンや香りの調整に必要な最小限)。長熟タイプで、年代物のマホガニーを思わせる濃い赤紫色。カシスやキイチゴ、プラムのアロマにヴァニラのようなスパイスとカラメルかトーストのような焦げたニュアンスを持つ。タンニンが強いが3年ほどで甘苦くこなれ、10年位熟成すると力強くコクのある味わいになる。赤身の肉料理にこよなく合う。いい年のものは20年は保存可能。

ルピアックのシャトー

 Saint-Aubin-de-Medoc村の教会  極甘口の白
   
Château de Lussac LussacChâteau Haut Piquat

25. Loupiac(ルピアック)ボルドー:1936。アントル・ドゥー・メールの村名アペラシオン。AOC Premières Côtes de Bordeauxの一部。土質はガロンヌ川の沖積土である砂質粘土。
極甘口の白:主要品種セミヨン80%、ソーヴィニョン・ブラン15%。アクセサリー品種ミュスカデル。フルーツのコンフィ、トロピカルフルーツ、はちみつ、イチジクなどの複雑な香り。黄色い花、レーズン、干しアンズ、アカシアなどアロマも複雑。甘さときれいな酸味をあわせ持ち、とろりとした舌触り。非常に長い余韻を持つ。熟成期間は2~5年。

26. Lussac-Saint-Émilion(リュサック・サンテミリオン)ボルドー:1936。サンテミリオンの中心部に位置するLussacというコミューンで作られる赤ワインだけの村名アペラシオン。サンテミリオンに4つある村名アペラシオンのひとつ。東西で粘質土、砂礫土と土質が変わる。
主要品種:メルロー 65%以上、カベルネ・フラン約25%、カベルネ・ソーヴィニョン10%。アクセサリー品種:コットとカルメネール(合わせて5%以内)。赤いベリーの香りになめし皮、プラム、スパイスのアロマ。野生鳥獣の第3アロマもある。優雅だががっしりと力強く、ビロードのようなタンニン。複雑で豊かな味わい。肉料理やウォッシュタイプのチーズに合う。熟成期間は5~10年。

Château Margaux Chateau-d’Arsac
Château Cantenac Brown Labardeのカーヴ

 
Soussansの教会 Grands crus de Margauxの赤  

27. Margaux(マルゴー)ボルドー:1954。ジロンド川下流部左岸、Médocのほぼ真ん中に位置するArsac(アルザック)、Cantenac(カントゥナック)、Labarde(ラバルド)、Margaux、Soussans(スサン)という4つのコミューンで作られる赤ワインの村名アペラシオン。土質は石灰質粘土を基盤とする砂礫混じり沖積土。
長熟タイプの赤:主要品種カベルネ・ソーヴィニョン、メルロー、カベルネ・フラン。補助品種:カルメネール、プティ・ヴェルド、マルベック。赤と黒のベリーや甘草の香り。スパイスや焦げたようなアロマ。どっしりしてコクのある味わい。すべての肉料理にはもちろんチョコレートにも合わせられる。熟成期間は5~30年。
ボルドー1級格付けのChâteau Margauxはあまりにも有名。ほかに2級から5級まで19のシャトーを合わせてGrands crus de Margaux(グラン・クリュ・ドゥ・マルゴー)と呼ばれる。

メドックのシャトー
Bas-médoc Centre村Saint-Paulin教会
ジロンド川河口の四ッ手網漁 La Pointe-de-Grave

Crus Bourgeois Exceptionnels            

Cru Bourgeois Supérieur Cru Bourgeois 

28. Médoc(メドック)ボルドー:Haut-médoc(1938)、Margaux(1954)、Moulis en Médoc(ムーリザン・メドック1938)、Listrac-Médoc(リストラック・メドック1957)、Pauillac(ポイヤック1936)、Saint-Estèphe(サン・テステフ1936)、Saint-julien(サン・ジュリアン)の7つのAOCにジロンド川最下流部のBas-médoc(バ・メドック)を加えて1992年にAOPに包括した地域アペラシオン。
土質はカベルネ・ソーヴィニョンの栽培に向く砂礫混じりの沖積土とメルローの栽培に適した深い石灰質粘土が段丘によって変わる。
長熟タイプの赤:主要品種カベルネ・ソーヴィニョン、カベルネ・フラン、メルロー。補助品種マルベック、プティ・ヴェルド、カルメネール。ルビーのような深い赤色。赤と黒のベリーやスパイス、キャラメルやカカオのアロマに煙草など焦げたようなノートや焼けた松のような樹脂のニュアンスがある複雑なブーケ。どっしりしてコクのある味わい。ステーキ、ジビエ、仔羊のローストなどや、ブルーチーズ、ハードタイプの強いチーズに合う。熟成期間は5~20年。
メドックには以前からCrus Bourgeois(クリュ・ブルジョワ)という公式の格付けがあり、Crus Bourgeois Exceptionnels(クリュ・ブルジョワ・エクセプシオネール=並外れて優れた)とCrus Bourgeois の2段階の格付けが行われていたが、格付けの運用や公正性に問題があるとして2007年にフランス詐欺取り締まり局によって公式格付けとしての使用が禁止された。2008年からはAlliance des Crus Bourgeois(アリアンス・デ・クリュ・ブルジョワ)というグラン・クリュ生産者の団体によって非公式な格付けとしての使用が再開され、農務省の後押しもあって現在はCrus Bourgeois Exceptionnels、Cru Bourgeois Supérieur(クリュ・ブルジョワ・シュペリゥール=卓越した)、Cru Bourgeoisの3段階の格付けをアペラシオン、生産者名と一緒にエチケットに記載することが許可されている。しかし、団体の運営方針や格付けのしかたを巡る内紛で有力なグラン・クリュ生産者の多くがこの団体には加盟しておらず、2006年以前にCrus Bourgeois Exceptionnelsの公式格付けを持っていたそれらの生産者は現在エチケットにCru Bourgeoisの記載をしていないことから、メドック全体の独自格付けと呼ぶこともできない。したがってこの格付けは参考程度のものと考えたほうがいい。あくまでもCrus Bourgeoisにこだわってワインを求めるなら2006年までの格付けと現在の格付けを比較検討する必要がある。
 
*Bas-médoc以外のアペラシオンの画像はそれぞれの項目参照。

29. Montagne-Saint-Émilion(モンターニュ・サンテミリオン)ボルドー:1936。サンテミリオンのジロンド川右岸に接するMontagneで作られる赤ワインの村名アペラシオン。土質は多孔質の石灰岩砂礫が混じる石灰質粘土。
主要品種:メルロー75%以上。補助品種:カベルネ・フラン20%程度、カベルネ・ソーヴィニョン5%以内、マルベックとカルメネールを少量加えることも許される。カシスやイチゴ、甘草、森の下草、皮革、野生動物など複雑なアロマ、熟成により深煎りコーヒーやチョコレート、フルーツのコンフィのようなニュアンスも生まれる。骨格のしっかりしたエレガントな味わい。ほどよいタンニンとフルーティさをあわせ持つ。熟成期間5~10年。

30. Moulis ou Moulis-en-Médoc(ムーリまたはムーリ・ザン・メドック)ボルドー:1936。オー・メドックのMoulis-en-Médocというコミューンで作られる長熟タイプの赤ワインの村名アペラシオン。土質は沖積土と石灰岩の砂礫の互層。
主要品種:カベルネ・フラン、カベルネソーヴィニヨン、メルロー。補助品種:マルベック、プティ・ヴェルド。深いルビー色。カシスやキイチゴ、プラムのようなアロマにヴァニラのようなスパイス、カラメルやトーストのような焦げたニュアンスもある。強めのタンニンは3年ほどでビロードのようにこなれ、10年以上の熟成で肉付きのいい最高の味わいになる。いい年のものは30年以上保存可能。

31. Pauillac(ポイヤック)ボルドー:1936。ボルドーを代表する地区アペラシオンのひとつ。オー・メドックの中でやや下流に位置する。土質はグラーヴに特徴的な粘土の混じらない粒の大きな砂礫土で特にgraveと呼ばれる。長熟タイプの赤ワインで知られる。
主要品種:カベルネ・ソーヴィニョン、メルロー、カベルネ・フラン。補助品種:カルメネール、コット、プティ・ヴェルド。深いルビー色。ブラックチェリー、カシス、バラ、アイリス、西洋杉、燻煙など複雑なブーケ。深みのあるタンニン、豊かなコクで濃厚な味わい。熟成期間は5~15年。
ポイヤックのGrands crus(グラン・クリュ)は18で、現在1級から5級のうち3級はない。1級格付けのボルドー5大シャトーのうちChâteau Lafite-Rothschild、Château Latour、Château Mouton-Rothschild のいわゆる3大シャトーを擁する。

Montagne村Château des Tours Montagne村Saint-Martin教会

Moulis-en-Médoc Saint-Saturnin教会 Château Gressier Grand Poujeaux

ポイヤックの畑 Château Lafite-Rothschild Château Latour Château
Mouton-Rothschild