Ecole de français du Kansai -Traduction, Interprétariat, Guide-
   
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Bordeaux(ボルドー)4: 1936。Gironde(ジロンド)県とHaute-Garonne(オート・ガロンヌ)県にまたがる産地全域をカヴァーする広域アペラシオン。

32. Pessac-Léognan(ペサック・レオニャン)ボルドー:1987。ガロンヌ川左岸のGravesの中心に位置するPessac、Léognan、Gradignan(グラディニャン)など10のコミューンの地区アペラシオン。土質は粘土混じりの細かな砂質土。
赤(80%):主要品種カベルネ・ソーヴィニョン、メルロー、カベルネ・フラン。補助品種カルメネール、コット、プティ・ヴェルド。赤いベリーとスミレの優雅な香り。滑らかなタンニンが豊かで、肉付きがよく、バランスの取れた高貴な味わい。熟成期間は5~10年。
白(20%):主要品種ソーヴィニョン・ブラン、セミヨン。補助品種ミュスカデル、ソーヴィニョン・グリ。
ボルドー1級格付けのChâteau Haut-Brion(シャトー・オー・ブリアン)がある。

33. Pomerol(ポムロル)ボルドー:1936。Entre-deux-MersとLibournaisにまたがる Pomerol、Libourne(リブルヌ)、Lalande-de-Pomerol(ラランド・ドゥ・ポムロル)の3つのコミューンだけで作られる長熟タイプの赤ワインの村名アペラシオン。土質は酸化鉄の多い小石混じりの砂質土。
本来メルロー100%で作られるがメルローは病害虫に弱いため、AOPでは補助品種としてカベルネ・ソーヴィニョン、カベルネ・フラン、コットの使用が認められている。濃赤紫色で、スミレ、赤いベリー、甘草のアロマ、トリュフ、毛皮などのニュアンスがある。強めのタンニンは熟成によってビロードのようにこなれ、しなやかな力強さと豊満で官能的な味わいになる。赤身肉のグリエ、ジビエや猟鳥などはもちろん、柔らかいチーズやチョコレートにも合わせられる。熟成期間は5~30年。
サンテミリオンに近いことから、かつてはその傍流のような扱いを受けた時期もあったが、現在はメルローらしさを十分に表現したワインとして名声が確立している。生産量が他のボルドーワインに比べて少ないため高価なものが多く、最も評価の高いChâteau Petrus(シャトー・ペトリュス)のいい年のものには6,000ユーロ以上で取引された例がある。

34. Premières Côtes de Bordeaux(プルミエール・コート・ドゥ・ボルドー)ボルドー:1937。アントル・ドゥー・メールの39のコミューンで作られる甘口白ワインだけの地区アペラシオン。ルピアック、サント・クロワ・デュ・モン、カディヤックの3つのアペラシオンを包括する。各アペラシオンの項参照。

35.Puisseguin Saint-Émilion(ピュイスガン・サンテミリオン)ボルドー:1936。サンテミリオンにあるPuisseguinという小さなコミューンで作られる赤ワインだけの村名アペラシオン。Lussac-Saint-Émilion、Montagne-Saint-Émilionと同じくドルドーニュ川の支流Barbanne川右岸に位置する。土質は石灰質砂礫土と石灰質粘土。
セパージュはメルロー(80%以内)、カベルネ・フラン(15%以内)、カベルネ・ソーヴィニョン(約5%)。少量のマルベックとカルメネールの使用が許される。赤いベリーとプラムのアロマに、ミント、イチジク、甘草、ナツメグのようなニュアンス。甘苦いタンニンを持ち、肉付きはよいが重すぎない味わい。バーベキューやパスタに合う。熟成期間5~10年。

Château Haut-Brion Pessac村St-Martin教会
   
Libourne村Abel-Surchanp広場  Lalande-de-Pomerol Saint-Jean-Baptist教会 

Gradignan村ブドウとワインの博物館  Château Haut-Brionの赤と白
 
 ポムロルの畑  Pomerol教会 Château Petrus
 
 Puisseguinのシャトーホテル Saint-Pierre教会

36. Sainte-croix-du-Mont(サント・クロワ・デュ・モン)ボルドー:1936。Entre-deux-Mersの南寄りに位置するSainte-Croix-du-Montという小さなコミューンで作られる極甘口貴腐ワインだけの村名アペラシオン。Premières Côtes de Bordeauxの一部。土質はカキ化石石灰岩礫の混じる石灰質粘土と泥灰土。
セパージュはセミヨン(85 %)、ソーヴィニョン・ブラン(12 %)、ミュスカデル(3 %)。貴腐ブドウを使い、糖度は45g/ℓまで高められる。透き通った黄金色。桃、アンズ、イチジク、レーズン、アカシアなどの複雑な甘いアロマ。生き生きとして力強く深みのある味わい。余韻が長く残る。デザートとともに味わうことが多いが、ホワイトソースを使った魚料理などにも合わせられる。
ソーテルヌと同じタイプでいい年のものは50年以上保存可能。

37. Sainte-Foy-bordeaux(サント・フォワ・ボルドー)ボルドー:1937。Entre-deux-Mers東端のSainte-Foi-la-Grande(サント・フォワ・ラ・グランド)を含む19のコミューンの地区アペラシオン。土質は石灰質粘土。赤、中甘口の白、甘口の白、極甘口の白を作る。
赤:主要品種メルロー。補助品種カベルネ・ソーヴィニョン、カベルネ・フラン、コット。ルビー色でチェリー、なめし革、森の下草のような男性的なアロマ。骨格がしっかりしており、くっきりしたタンニンと濃縮感のある複雑な味わいだが重くはない。赤身肉のほかアジア系のエスニック料理や魚料理にも合う。熟成期間5~10年。
白:ミュスカデル、セミヨン、ソーヴィニョン・ブラン、ソーヴィニョン・グリ。中甘口はフレッシュでまろやかな口当たり。2年以内に飲む。同じセパージュの遅摘みで作られる甘口の白と、貴腐ブドウでわずかに作られる極甘口もある。

38. Saint-Émilion(サンテミリオン)ボルドー:AOC1936。ジロンド県のSaint-Émilion、Saint-Christophe-des-Bardes(サン・クリストフ・デ・バルド)、Saint-Hippolyte(サン・ティポリト)、Saint-Étienne-de-Lisse(サン・テティエンヌ・ドゥ・リス)、Saint-Laurent-des-Combes(サン・ローラン・デ・コンブ)、Saint-Pey-d’Armens(サン・ペイ・ダルマン)、Saint-Sulpice-de-Faleyrens(サン・シュルピス・ドゥ・ファレラン)、Vignonet(ヴィニョネ)という8つのコミューンとLibourne(リブルヌ)の一部を総合した地区アペラシオン。近接する独立したAOCとしてMontagne-Saint-Émilion、Saint-Georges-Saint-Émilion、Lussac-Saint-Émilion、Puisseguin-Saint-Émilionがある。それらについては各項目を参照。
土質は中央部が石灰岩台地を覆う粘土混じりの石灰質土、北西部は石灰質粘土の上に堆積した砂質土。南部のドルドーニュ渓谷は砂礫混じりの沖積土。
長熟タイプの赤が有名。メルロー60%、カベルネ・フラン30%以上、カベルネ・ソーヴィニョン10%まで。イチゴと赤スグリの香り、甘苦いスパイス、ヴァニラ、なめし皮、燻煙のアロマを持つ。味わいは力強い濃縮感のあるものから上品で繊細なものまで幅広い。どれもビロードのように滑らかなタンニンを持つ。すべての肉料理、チョコレートなどに合う。熟成期間5~30年。
白も作っているがAOCではない。
域内のコミューンにはサンテミリオンのモノリス教会をはじめ数多くの歴史遺産が残されている。
1999年「Juridiction de Saint-Émilion(サンテミリオン地域)」はワイン産地として初めて世界文化遺産に登録。juridictionは「裁判権」、「管轄」といった意味で、「サンテミリオン管轄地」とも訳される。12世紀、ボルドーが英国領だったころの支配権にルーツを持つ呼び名。

39. Saint-Émilion grand cru(サンテミリオン・グラン・クリュ)ボルドー:1954。生産者ごとの格付けによる地域アペラシオン。ワインの特徴はサンテミリオンを参照。
サンテミリオンにはボルドーの格付けとは別に、1954年から始まった独自の格付けClassements des vins de Saint-Émilion(クラスマン・デ・ヴァン・ドゥ・サンテミリオン)があり、グラン・クリュを3段階に格付けする。10年に一度見直しが行われ、結果はボルドー行政裁判所によって告示される。2006年の格付けでは13のシャトーが格付けを剥奪された。現在Premiers grands crus classés A(プルミエール・グラン・クリュ・クラッセA)は長くChâteau Ausone(シャトー・オーソンヌ)とChâteau Cheval Blanc(シャトー・シュヴァル・ブラン)だけだったが、2012年にChâteau Angélus(シャトー・アンジェリュー)とChâteau Pavie(シャトー・パヴィ)の2つが昇格して4つになった。Premiers grands crus classés B(プルミエール・グラン・クリュ・クラッセB)には13のシャトーと1つのClos、その下のGrands crus classés(グラン・クリュ・クラッセ)に58のシャトーと4つのClos、1つのCouvent(クーヴァン=修道院)がある。Aに格付けされた4社のワインはきわめて高価。

Sainte-Foy-la-Grande Notre-Dame教会 Sainte-Foy-la-Grandeの木組みの家

サント・フォワ・ボルドーの畑  甘口白 極甘口白

サンテミリオン  モノリス教会  Saint-Sulpice-deFaleyrens
のメンヒル

Saint-Christophe-des-Bardesのシャトー Saint-Étienne-de-LisseのSt-Étienne教会
 
 
Château Cheval Blanc Château Ausone Château Angélus  Château Pavie

40. Saint-estèphe(サン・テステフ)ボルドー:1936。オー・メドックの北寄りに位置するコミューンで作られる赤ワインの村名アペラシオン。土質は石灰質粘土。
長熟タイプの赤:主要品種カベルネ・ソーヴィニョン、メルロー。補助品種。カベルネ・フラン、カルメネール、コット、プティ・ヴェルド。黒スグリ、スミレ、モカ、ヴァニラ、スパイス、甘草など複雑で優雅なアロマ。骨格はしっかりしているがフルーティで豊かな味わい。すべての肉のローストやグリエに合う。熟成期間5~50年。
サン・テステフには1855年以来ボルドーの公式格付けで2e grand cru classéが2件、3e grand cru classé 、4e grand cru classé、 5e grand cru classé が1件ずつ計5件ある。また、 27. Médocの項で紹介したCrus Bourgeois認定の生産者も多く、現在Crus Bourgeois Exceptionnelsが4件、Crus Bourgeoisが20件ある。

41. Saint-Georges-Saint-Émilion(サン・ジョルジュ・サンテミリオン)ボルドー:1936。サンテミリオン北部に位置するMontagneという村の一部であるSaint-Georgesというコミューンで作られる赤ワインだけの村名アペラシオン。土質は石灰質粘土。
主要品種:メルロー(75%以上)。補助品種:カベルネ・フラン(20%以内)、カベルネ・ソーヴィニョン(約5%)。少量のマルベックとカルメネールの使用が許される。赤や黒のベリー、アンズ、プラムなどフルーティなアロマと、若いうちは強めのスパイスのニュアンスがある。タンニンが強いため長期熟成に向く。バーベキューや柔らかいチーズに合う。熟成期間5~10年。

42. Saint-julien(サン・ジュリアン)ボルドー:1936。Médocのほぼ中央、MargauxとPauillacに挟まれたGironde川左岸に位置する Saint-Julien-Beychevelle(サン・ジュリアン・ベイシュヴル)という小さなコミューンで作られる赤ワインだけの村名アペラシオン。土質は大小の礫が混じる石灰質粘土。
長熟タイプの赤:主要品種カベルネ・ソーヴィニョン。補助品種カベルネ・フラン、メルロー、マルベック、プティ・ヴェルド、カルメネール。濃いルビー色で、ブルーベリー、ブラックベリー、干しアンズ、甘草、カカオ、コーヒー、トースト、煙草などの複雑で深遠なアロマ。味わいは深みのあるやさしさが際立つ。純粋でしなやかなアタックのあと、熟したブドウの持つ濃密な香りと奥行きのある滑らかなタンニンがゆっくりと広がり、喉ごしは滑らかで見事な後味が長く続く。すべての肉料理に合う。熟成期間5~50年。
ボルドー格付け2級から4級のシャトーばかりだが、赤ワイン好きの間ではマルゴーやポイヤックの1級格付けに引けを取らないと高い評価を得ている。

43. Sauternes(ソーテルヌ)ボルドー:1936。ジロンド県南部、Gravesの中でGaronne川の支流Ciron川に沿ったBarsac(バルザック)、Bommes(ボム)、Fargues(ファルグ)、Preignac(プレニャック)、Sauternesという5つの小さなコミューンで作られる極甘口貴腐ワインだけの村名アペラシオン。Barsacはソーテルヌの中で別の村名アペラシオンに認定されている。土質は石灰質粘土の上に砂礫が堆積。
極甘口の貴腐ワイン:ソーヴィニョン・ブラン、セミヨン、ミュスカデル。若いうちは輝きのある黄金色だが、熟成が進むにつれて淡い琥珀色から濃い琥珀色になる。アーモンドの花と、カリン、マンゴー、パイナップル、桃のコンフィ、干し杏、パッションフルーツなどの果実香と菩提樹、アカシア、ミモザ、すいかずらなどの花の香りが溶け合った複雑で心地よいアロマ。アーモンド、ヘーゼルナッツのニュアンス。香り高く優雅、とろりとした強い甘さが際立つが切れ味はいい。フォワグラとの相性は抜群。デザートやフルーツ、ブルーチーズにも合わせられる。熟成期間5~50年。いいものは100年保存可能というが、写真の1847年のものなどはコレクター用に瓶詰めしなおしたもので飲むことはできない。
ボルドーの甘口白ワインの公式格付けで唯一Premier Cru Supérieur(特1級)のChâteau d'Yquem(シャトー・ディケム)は貴腐ワインの最高峰としてあまりにも有名で、いい年のものなどフランスで買っても400ユーロ以上する。1級Premiers Crusに11のシャトー、2級Seconds Crusに15のシャトーがある。

サン・テステフの畑 Saint-Étienne教会
   
Saint-Georges教会  サン・ジョルジュ・サンテミリオンの畑 
   
 Château Saint-Georges Château Saint-Georges赤 
   
  サン・ジュリアンChateau Branaire Ducru Saint Julien教会 
   
 サン・ジュリアンの畑 Chateau Branaire Ducru赤 
 
 
Fixardのメンヒル 2e-grand-cru-classé 4e- grand-cru-classé Crus bourgeois-exceptionnel

Château de Fargues Preignac-Saint-Vincent教会 貴腐ブドウ
2015年産ソーテルヌ

シャトー・ディケム 05年 76年 1847年