Ecole de français du Kansai -Traduction, Interprétariat, Guide- | ||||||||||||||||||||||||||
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Bourgogne(ブルゴーニュ)2
生産地は以下の6地区に大別される。①一番北西のヨンヌ県に位置するChablis(シャブリ)とAuxerrois(オーセロワ)、②その東のコート・ドール県に属するChâtillonnais(シャティヨネ)、③南西のソーヌ川右岸に連なって北からCôte de Nuits(コート・ドゥ・ニュイ)とHautes Côte de Nuits(オート・コート・ドゥ・ニュイ)、④Côte de Beaune(コート・ドゥ・ボーヌ)とHautes Côte de Beaune(オート・コート・ドゥ・ボーヌ)、⑤南のソーヌ・エ・ロワール県に属するCôte chalonnaise(コート・シャロネーズ)、⑥Mâconnais(マコネ)。 AOCは1936年以来121あったが、ローヌ県のアペラシオンがボージョレとして独立したAOCになったため100になり、AOPではいくつかの統合を経て80のアペラシオンになった。AOC・AOPは地域の名を冠した広域のブルゴーニュから、地区名、村名、畑名、クリマ名と順に範囲が狭くなっており、シャンベルタンやモンラッシェのように一つの村で名称の一部が共通するグラン・クリュ・クリマのアペラシオンと村名アペラシオンが混在する例も多い。したがって、そういった例についてはアルファベット順にこだわらず読みやすさを重視してまとめて記載したものもある。
ブルゴーニュの有力なワイン生産者組合をタスト・ヴァン騎士団confrérie des chevaliers du Tâste-vin(コンフレリー・デ・シュヴァリエ・デュ・タストヴァン)といい、正装するときは利き酒用の小さな銀製カップタスト・ヴァンをシンボルとして首から下げている。メンバーの多くがワイン好きなら誰もが知るアペラシオンの生産者である。 だが、前に「生産者」の項でブルゴーニュの格付けは生産者ではなく、テロワールを特徴づけるクリマとリュー・ディーによって畑が格付けされるということを書いた。この場合畑はクリマそのものと考えてよく、格付けにはGrans Crus(特級)とPremiers Crus(1級)がある。特級クリマ(畑)の場合エチケットの記載は「Appellation+クリマ(畑名)+Contrôlée」となる。村名アペラシオンに所在する1級クリマ(畑)の場合は「Appellation+村名+Premier Cru+クリマ(畑)名」になる。つまり有力な生産者は特級や1級の畑を場合によっては複数所有しているということで、生産者自身の名はエチケットにはDomaine 〇〇と小さく書かれているのが普通である。たとえば有名なロマネ・コンティを生産しているドメーヌ・ドゥ・ラ・ロマネ・コンティ社はヴォーヌ・ロマネ村の特級、1級畑を数多く所有しており、それぞれのエチケットに一番大きく記載されるのはRomanée-ContiであったりRichebourgであり、エチケット上部に小さくDomaine de la Romanée-Contiと書かれている。 ブルゴーニュのAOCはかなり複雑な構成になっていて、上記の分け方以外に広域AOCブルゴーニュや地区アペラシオンに含まれるものの、テロワールの特徴が顕著に表れているワインであるとしてエチケットに地区名や村名、クリマ名を記載することが許可されているワインがある。そういった地区名表示ワインと村名・クリマ名表示ワインについても解説を加える。 地区名表示ワイン 上記の6地区のうち①Chablis、②Châtillonnaisで作られる発泡性ワインのCrémant de Bourgogne、③Côte de Nuits、④Côte de Beaune、⑥Mâconnaisの5件は独立した地区アペラシオンとしてAOCの認証を受けているのでそれぞれの項で解説する。 その他の地区は地区名アペラシオンとしてのAOCは認証されていないが、エチケットに「Appellation+Bourgogne+地区名+Contrôlée」の記載が許可されている。以下にそれらの概要を紹介しておく。年号はエチケットに地区名を記載することが許可された年。 ①Bourgogne-côte-d'auxerre(ブルゴーニュ・コート・ドーセール)ブルゴーニュ:1993。ヨンヌ県の県庁所在地Auxerre(オーセール)周辺の地区名表示。ブルゴーニュ広域AOPの一部。土質は石灰質粘土。 赤:ピノ・ノワール100%。濃いルビー色、チェリーや赤、黒のベリーの香りにほのかな甘草やミネラルのアロマ。タンニンは強くなくビロードのように滑らかで喉ごしがいい。鶏肉のワイン煮込み、レバーやトリップとの相性がいい。熟成期間2~5年。 ロゼ:ピノ・ノワール100%。圧搾果汁とセニエの2通りの作り方がある。フルーティで新酒のうちに飲む。 白:シャルドネ100%。輝きのある黄金色。白い花やアーモンド、ヘーゼルナッツなどの香り。熟成すると森の下草やドライフルーツのニュアンスが出て複雑なアロマになる。白身魚や油で火を通した野菜料理に合う。熟成期間1~3年。 ②Bourgogne Hautes côtes de Nuits(ブルゴーニュ・オート・コート・ドゥ・ニュイ)ブルゴーニュ:1961。コート・ドール県コート・ドゥ・ニュイの西側のオート・コート・ドゥ・ニュイに位置するCollonges-lès-Bévy(コロンジュ・レ・ベヴィー)、Meuilley(ムイィー)など14のコミューンの地区名表示。土質は石灰岩層の上に堆積した厚みのない石灰質粘土。 赤とロゼ83%:ピノ・ノワール100%。ロゼの生産はわずかで広域AOPブルゴーニュ・ロゼに含む。 赤は紫紅色またはくすんだルビー色。赤いベリーの香りに甘草やスミレのアロマ。熟成とともにタンニンが柔らかくなり、骨格はしっかりしているが強すぎることはない。ビロードのように滑らかな飲み口。子羊やウサギなど重くない肉料理、セミハードタイプのチーズによく合う。熟成期間3~10年。 白17%:シャルドネ100%。ごく淡い黄金色。樽熟成したものは黄色が強くなる。サンザシやスイカズラの香りにリンゴ、レモン、ヘーゼルナッツなどのアロマ。硬さと滑らかさのバランスがとてもよく、はつらつとした飲み口。エビ、カニ魚の蒸し煮によく合う。ロックフォールなど強いブルーチーズとの相性もいい。熟成期間2~5年。よい年のものはさらに長期熟成が可能。 ③Bourgogne Hautes côtes de Beaune(ブルゴーニュ・オート・コート・ドゥ・ボーヌ)または Hautes côtes de Beaune(オート・コート・ドゥ・ボーヌ)ブルゴーニュ:1961。コート・ドール県のNantoux(ナントゥー) など12のコミューンとソーヌ・エ・ロワール県のCheilly-les-Maranges(シェイィ・レ・マランジュ)など7つのコミューンにまたがるオート・コート・ドゥ・ボーヌの地区名表示。コート・ドゥ・ボーヌの西側にあたる。土質は土質は石灰岩礫を含む石灰質粘土。 赤とロゼ86%:ピノ・ノワール100%。赤はバラのような赤紫色。赤いベリーと桜桃の香り、カシス、甘草、森の下草、スパイスのアロマ。若いうちは固さを感じさせるが、数年寝かすとタンニンがまろやかになり、重すぎずブルゴーニュらしい優しい味わい。仔牛、仔羊、豚のローストなど重くない肉料理と相性がいい。マイルドな白カビチーズにも合わせられる。熟成期間3~5年。よい年のものはさらに長期熟成が可能。ロゼは広域AOPブルゴーニュ・ロゼに含む。 白14%:シャルドネ100%。は淡い黄金色。白い花や蜂蜜、パン・デピスのアロマ。エレガントでフレッシュ、なめらかな口当たり。エビ、カニ、魚の蒸し煮によく合う。ブルーチーズやシェーブルチーズにも合わせられる。熟成期間2~5年。よい年のものはさらに長期熟成が可能。 ④Bourgogne Côte chalonnaise(ブルゴーニュ・コート・シャロネーズ)ブルゴーニュ:1990。ソーヌ・エ・ロワール県のドゥーヌ渓谷とグローヌ渓谷の間に点在する44のコミューンの地区名表示。土質は石灰質粘土と泥岩質粘土にフリントや砂岩礫が混じる。 赤とロゼ:ピノ・ノワール100%。赤は澄んだ赤紫色、ルビー、ガーネットといくつかのローブを持つ。赤と黒のベリーの香りが際立つが、熟成するとジビエやキノコのアロマも出てくる。酸味とタンニンのバランスがよく、アタックは強いが飲みやすい。若いうちは濃いソースの肉料理に合うが、熟成するとウォッシュタイプのチーズにも合わせられる。熟成期間2~5年。よい年のものはさらに長期熟成が可能。 白:シャルドネ100%。少しグレーがかった黄金色。白い花やレモンの香り。ドライフルーツやバターのアロマもある。ほどよい酸味、生き生きして素直な飲み口。ムール貝のワイン蒸しや野菜のマリネ、ソフトタイプのチーズによく合う。若いうちに飲むべきワイン。熟成期間1~5年。 〔地区名表示ワイン〕
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