Ecole de français du Kansai -Traduction, Interprétariat, Guide-
   
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②ワインの種類

 ブドウを原料につくられるワインにはどんな種類があるかをまず覚えましょう。

赤ワインvin rouge(ヴァン・ルージュ):果皮の色が黒いブドウから作られるワイン。皮ごとつぶして発酵させるため色素が溶けだして赤い色になります。ブドウの品種や醸造法によって紅色から黒紫色まで色調はさまざまです。特に色の薄い赤ワインはclairet(クレレ)と呼ばれます。また、南西部のカオールでオクセロワという品種から作られる黒に近いどっしりした味わいの赤ワインはvin noir(ヴァン・ノワール=黒ワイン)と呼ばれます。

白ワインvin blanc(ヴァン・ブラン):果皮の色が緑や薄紫など白ワイン用の品種で醸造したもの。これも果汁だけで仕込んだり果皮ごとつぶして仕込んだりの醸造法や品種、熟成度合いなどによって無色透明に近いものから金色がかったもの、うっすらした麦わら色まで色調はさまざまです。
また、灰色カビ病におかされて水分が抜けることにより糖度が上がったブドウから作られるフランスのソーテルヌやハンガリーのトカイなどに代表される貴腐ワイン(sélection de grand nobleセレクシオン・ドゥ・グラン・ノーブル)も白ワインの範疇に入ります。さらに、氷結して糖度の上がったブドウで作るvin de glace(ヴァン・ドゥ・グラス=アイスワイン)というものもあります。ドイツのeis wein(アイス・ヴァイン)がよく知られています。ほかに藁の上で天日干しして糖度を上げたブドウを使うのがvin de paille(ヴァン・ドゥ・パイユ=藁ワイン)で、甘口のmoelleux(モワルー)やアルコール度数の高い極甘口のliquoreux(リコロー)などがあります。

・ロゼワインvin rosé(ヴァン・ロゼ):赤ワインと同様の醸造法で発酵途中に果肉と果皮を取り除いて醸造したものと、黒ブドウを圧搾して搾ることにより果皮の色が出た果汁だけで醸造したものがあります。かつては赤ワインと白ワインを混ぜたものもロゼと呼んでいましたが、現在EU規則で赤と白をブレンドすることが認められているのはシャンパーニュ・ロゼだけです。

グリワインvin gris(灰色ワイン):果皮がピンク色の品種や黒ブドウの果汁だけで醸造したロゼより色の薄い白ワイン。ピンクのブドウで作ったものはgris de gris(グリの中のグリ)と呼ばれます。

ヴァン・ジョーヌvin jaune(黄色ワイン):Jura(ジュラ)地方でSavagnin(サヴァニャン)という品種から樽内長期酸膜発酵熟成によって作られるクセの強い極辛口ワイン。Clavelin(クラヴラン)という620ml入りの専用のボトルで出荷されます。

発泡性ワインvin mousseux(ヴァン・ムスー):シャンパーニュが代表格です。ただしシャンパーニュを名乗れるのはアルザス・シャンパーニュ・アルデンヌ・ロレーヌ地域圏のシャンパーニュ地方で伝統的製法を守って造られたものだけで、他の生産地で作られた発泡性ワインはシャンパーニュと同様の製法で作られたものであってもvin mousseuxと呼ばなければなりません。微発泡性ワインはcrémant(クレモン)またはvin pétillant(ヴァン・ペティヤン)といいます。発泡性ワインといえば白のイメージが強いですが、シャンパーニュにはロゼがあり、イタリアにはランブルスコのような赤もあります。
 また、発泡していない(発泡前の)ワインをvins tranquilles(ヴァン・トランキル)と言いますが、瓶内発酵させる前の原酒をさす場合と普通のワインをさす場合と二つの意味を持ちます。
よく知られているのは以上のようなものですが、スペインのシェリーやポルトガルのポルトに代表される、保存性を高めるためにアルコールを添加した酒精強化ワイン(vin mutéヴァン・ミュテ)、糖度を上げるためにブドウの収穫を遅らせた遅摘みワイン(vendanges tardivesヴァンダンジュ・タルディヴ)などがあります。
 のちほどブドウの品種cépage(セパージュ)についてもお話ししますが、ほとんどの産地を代表するワインは複数の品種を使っています。そういった中で単一品種だけで造られたワインは特にvin de cépage(ヴァン・ドゥ・セパージュ=単一品種ワイン)と呼ばれています。
次回はワインに関する用語を整理します。