Ecole de français du Kansai -Traduction, Interprétariat, Guide-
   
    目  次  
・sentir香りを利く

 
ワインを楽しむうえで香りは大切な要素です。「香り」という一言だけをとっても日本語と同じように「臭い」、「匂い」、「香り」、「芳香」、「香味」などさまざまなニュアンスの単語がありますし、香りを表現する言葉も山のようにあります。
odeur(f)
(オドゥール):匂い、香り
arôme(m)
(アロム):ブドウの品種、醸造、熟成によって醸し出される香りの総称。第1アロマから第3アロマまである。
arôme primair
(アロム・プリメール):第1アロマ。ブドウの品種に由来する香り。arôme variétaux(アロム・ヴァリエトー)ともいう。
arôme secondaire
(アロム・スコンデール):第2アロマ。発酵・醸造に由来する香り。arôme fermenter(アロム・フェルマンテ)ともいう。
arôme tertiaire
(アロム・テルシェール):第3アロマ。熟成に由来する香り。bouquet(ブーケ)と同じ。arôme d’élevage(アロム・デレヴァージュ)ともいう。
bouquet(m)
(ブーケ):芳香、熟成香。第3アロマと同じ
senteur(f)
(サントゥール):よい香り、香気。
parfum(m)
(パルファン):芳香。
nez(m)
(ネ):香味(アロマとブーケの総称)。
note(f)
(ノート):香りの調子、特徴。香りの強弱や複雑か単調か、豊かさはどうかといったことに使うが、ニュアンスと同じように使うこともある。
nuance(f)
(ニュアンス):生産地、収穫年、品種が同じワインでも保存期間や保管環境、飲むときの温度の違い、合わせる料理などで生じるアロマのわずかな違い。感じ方は人それぞれで、「○○のニュアンスがある」のように使うが、正解というものがないあいまいな用語と言える。
rétro-olfaction
(レトロ・オルファクション):戻り香。口に含んだワインに息を吸い込んで空気を混ぜた後鼻から吐いた息で感じる香り。
sentir
(サンティル): 匂いを嗅ぐ、香りを利く。respirer(レスピレ)ともいう。

 
プロが使う「〇〇のような香り」というような香りを表現する言葉はほとんど無数にあります。ここでは香りを表現する言葉には「花系」、「果物系」、「スパイス・ハーブ系」、「樹木系」、「草・葉っぱ系」、「焦げ臭系」、「鉱物系」、「動物系」、「化学物質系」などいろいろあるという程度の知識で十分でしょう。
「スパイシーな香り」とか「ベリーのような香り」とか「樽の香り」とか、なんとなくこんな香りのことかなと思うことはあっても、ほとんどは実際に試飲しながらこの言葉の香りはこれだと教えてもらわなければわかりません。それに、果物ひとつとっても「熟した○○」、「青い○○」、「しなびた○○」、「乾燥した○○」、「火を通した○○」などと際限なく派生しますから教えてもらったところで覚えきれるとは思えません。なにしろ、「白い花のような香り」とか「熟した木苺のような香り」といったきれいな表現から、「埃のような香り」とか「割った石のような香り」、あげくは「濡れた犬のような香り」なんてちょっとわけのわからない表現までありますから、メモするときは自分の言葉で記録しましょう。
 とりあえず試飲できるワインショップなどで店の人に伝える便利な言葉を少しだけ紹介しておきます。香りをかいで“C’est ~”と言えば伝わるでしょう。

aromatique
(アロマティク):芳しい香り
complexe
(コンプレックス):複雑な香り
discret
(ディスクレ):控えめな香り
épice
(エスピス):スパイシー
faible
(フェーブル):香りが弱い
fade
(ファド):単調な香り
ferme
(フェルム):香りが閉じている。まだ香りが立っていない。
floral
(フローラル):花のような香り
fort
(フォール):香りが強い
fruité
(フリュイテ):フルーティな香り
ouvert
(ウヴェール):香りが開いた。ワインが空気に触れて香りが立ってきた。
subtil
(シュブティル):複雑で繊細な香り
vif
(ヴィフ):生き生きとした香り