Ecole de français du Kansai -Traduction, Interprétariat, Guide- | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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コルシカには新石器時代に海岸部に人が住み始め、青銅器時代から鉄器時代にはFilitosa(フィリトーザ)のような彫像メンヒルを持つ大きな遺跡が形成されるようになる。紀元前6世紀ごろにはイタリア半島中央部にあった有力な都市国家連合エトルリアの支配地になったため、ブドウ栽培とワイン生産もそのころには始まっていたと考えられる。その後カルタゴ、ローマと支配者は変わっていき、島には多くの遺跡が残っている。東海岸の中ほどにあるAleria(アレリア)には最初エトルリアによって築かれ、カルタゴ、ローマと変遷していく歴史をたどることができる大規模な植民都市遺跡がある。また、北部のBastia(バスティア)近郊にはローマが築いた植民都市Mariana(マリアナ)遺跡があり、現在モナコ大公国の援助によって博物館を含む大規模な遺跡整備計画が進行中である。遺跡内にはキリスト教化したローマによって5世紀に建築されたバジリカ様式のCathédrale
Santa Maria- Canonica(サンタ・マリア・カノニカ大聖堂)が再建されている。 6世紀以降ローマ帝国が東西に分裂してその勢力が弱まると、無法地帯化した地中海世界でコルシカはさまざまな外部勢力による侵略が繰り返される暗黒時代を迎えた。結果的には13世紀にピサからコルシカの支配権を奪い取ったジェノヴァによって再び一国による支配が復活したが、ジェノヴァの苛烈な統治はしばしば島民による反乱を引き起こし、やがて大規模な独立闘争にまとまっていった結果1755年Pascal Paoli(パスカル・パオリ)を首班とする独立政府の樹立にまで至った。この政府は国旗、国歌、憲法などの制定、独自通貨の発行、議会や大学の創設、徴兵制などそれまでにない近代国家の先駆ともいえる制度を築いた。 独立政府に対して軍事力で対抗できなくなったジェノヴァはフランス王国に支援を求め、1768年に「反乱が鎮圧できたらフランス軍の派兵に要した戦費を返済するまで当面の間コルシカの統治権をフランスにゆだねる」という条件で「ヴェルサイユ条約」を締結した。パスカル・パオリが樹立した政府はフランスの強大な軍事力に制圧され、パオリ自身は英国に亡命したが、現在も独立闘争の英雄としてコルシカでもっとも敬愛される人物である。 ジェノヴァは結局のところ莫大な戦費を返済できず、コルシカはそのままフランス領となったというのが歴史で、フランス領になったのちも現在に至るまで主要な都市はジェノヴァが海岸部に築いた城塞都市や港湾都市である。 現在コルシカはRégion de Corse(コルス地域圏)と一般には呼ばれ、フランスの他の地域圏と名称上の差はないが、上記の歴史的経緯によるものか他の地域圏にはない特別な制度や付与された権限があり、正確には他の地域圏より自治権が強化されたCollectivité Territoriale de Corse(コルス地方公共団体、略称 CTC)という名称が与えられている。 最も大きな特徴は、他地域にもあるConseil régional(地域圏議会)に当たるAssemblée Territoriale de Corse(コルス地域議会)のほかに他地域にはないConseil exécutif(執行評議会)が設置されて、評議機関と執行機関が分離されている点である。 例えばコルスの鉄道Chemins de fer de la Corse(コルス鉄道、CFC)はフランス国鉄と提携関係にあるが、運営主体、鉄道資産の所有者ともにCTCである。 また、独自言語であるコルシカ語は本来イタリア語の方言であるが、共和国憲法に「共和国の言語はフランス語である」と規定されているにもかかわらず、公教育の場でコルシカ語の授業をすることが義務付けられている。これもコルス地域議会が決定して執行評議会が実施しているものでCTC独自の施策である。フランス語優越主義者からは憲法違反だと批判の的になっているが、公的に使用が禁止されたままのアルザス語や、文化継承のための運動として私的な教育が続けられているブレース語やプロヴァンス語などと大きな違いがある。 独自の言語が正しく継承されているということは独自の文化もよく伝えられているということで、中でもコルシカ語で歌われる男性多重唱Polyphonie(ポリフォニー)はユネスコの無形文化遺産に登録されている。 コルスは自然景観の美しさでもよく知られている。アジャクシオの西にあるLes Îles Sanguinaires - Pointe de La Parata(サン・ギネール群島とパラタ岬)は フランス環境省によってGrand site de France(フランスの絶景)に指定されているし、山岳地帯に見られるRoccapina(ロッカピーナ)の奇岩群など見どころがたくさんある。 このようにフランスの中で特異ともいえる地位を保っているコルスは生産されるワインも独特の個性を持っており、合わせる料理も郷土色豊かである。ワイン以外にチーズ、豚肉加工品、栗などが名産で、栗の粉で作ったcanistrelli(カニストレッリ)というビスケットや栗のビールなどもよく知られている。
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