Ecole de français du Kansai -Traduction, Interprétariat, Guide-
人類史上最大の革命 大地母神 巨石建造物
はじめに
やっぱりフランス旅は
いきなり面白い
ブルトン
またはケルトの国
メガリス Megalithes
ブルターニュ公国の古都
小さな海 
―mor bihan―
メガリス研究発祥の地
地の果て Finistère
ブルトンの村・建築
ブルターニュの最深部
―フィニステール北岸―
谷の町モルレー Morlaix
パリに戻ってさらに考えてみた
メガリスMégalithes

人類史上最大の革命


 ヨーロッパでは一般におおむね今から8000年前から4000年前までを新石器時代と呼ぶ。旧石器時代の終わりごろほぼ一万年前を前後する時期に西アジアで発生した農耕と牧畜を伴う文化はドナウ川流域と地中海沿岸を伝わってヨーロッパに広がっていった。

狩猟や採集、あるいは初源的な遊牧生活を営むためには相当広いテリトリーを必要とし、一箇所に長く暮らすことは不可能であった。安定した食料獲得を可能にした農耕の開始によって人類は定住することができるようになったとよく言われるが、見方を変えれば大規模な開墾や水利を必要とする農耕社会の形成には定住することが不可欠であったと言い換えてもいいだろう。人々は永続的な集落を営むようになったのだが、耕地を広げ生産力が上がるにつれて単一の集落だけではその構造を維持できなくなっていったであろう。社会が大きくなれば強力な指導者が必要となるし、共同作業のための暦を発明した神官のような階層も誕生した。集団の意思統一のための共通の神が創造され祭式を執り行う神殿なども整備されていったのだが、そのためには何年にも及ぶ計画性が必要だったに違いない。神や指導者の言葉を記録したり、交易に伴う契約のために文字が発明された社会もある。

文明の発生の母体となった新石器時代の生産活動は、ある意味産業革命以上に根源的な影響を現在の世界に及ぼした人類史上最大の画期と言っていいものだから、この時代のムーヴメントを新石器生産革命と呼んだのである。
世界的視野で新石器時代化の段階をちゃんと研究しなければ現代社会の持つ歪みの本質は見えてこない、なんてことをひと頃つれあいと話し合ったことがあるのだが、それは、土地争い、水争いに始まり、集団内格差、地域間格差、支配者と被支配者あるいは征服者と被征服者、環境破壊、宗教間対立といった現代社会が抱える人類の業(ごう)とも言うべきさまざまな問題の萌芽を新石器時代が内包していると思うからで、その歴史からなにを学び取るかが人類の未来への指針になりうるからだ。