|
ローマ属州
古代ローマは、占領した地域をいくつもの属州に分け、総督を配置して支配した。属州を意味するラテン語のプロウィンキアprovincia が南仏プロヴァンスの語源だ。
前2世紀の末ごろ南仏はすでに属州となっていた。ガリア・トランサルピナGallia Transalpina (アルプスの向こうのガリア)最初の属州で、ガリア・ナルボネンシスGallia Narbōnēnsis と呼ばれ、現在のプロヴァンス・アルプ・コートダジュール地域圏からオクシタニ―地域圏Occitanie の東部がその範囲にあたる。最初の拠点はギリシャ時代から都市が築かれていたマッサリア(マルセイユ)だった。ガリア・ナルボネンシスは北イタリアからアルプスにかけてのガリア・キサルピナGallia Cisalpina (アルプスを越えないガリア)とローマ本土をガリア人やケルト人から守るための重要な緩衝地帯で、カエサルもガリア・キサルピナの総督になった前1世紀中ごろからここを拠点にガリア征服に乗り出し、現在のオーベルニュ・ローヌ・アルプ地域圏Aubergne-Rhône-Alpes からブルゴーニュ・フランシュ・コンテ地域圏Bourgogne-Franche-Comté まで広がる北のガリア・ルグドゥネンシスGallia Lugdunensis や、現在のオクシタニ―地域圏西部から、ヌーベルアキテーヌNouvelle Aquitqitaine の各地域圏に広がる西のガリア・アクィタニアGallia Aquitania へと版図を広げていった。
また、南仏属州はローヌ川の水運を利して上流のケルト人と交易する上でも重要な拠点であった。そのためローヌ河口に近い場所にはコロニア・ネマウサ(のちのニーム)やコロニア・アレラーテ(のちのアルル)など大きな植民都市が早い段階で築かれたのだ。コロニア・ネマウサはローマが最初に築いた植民都市のひとつである。
ローヌ川流域にはいくつものこれまた立派な植民都市が築かれた。最前線に接するガリア・ルグドゥネンシスの拠点だったコロニア・ユリア・ヴィエナ(のちのヴィエンヌ)、コロニア・ルグドゥム(のちのリヨン)の2都市では現在も保存状態抜群のローマ遺跡を見ることができる。それ以外にも小規模な植民都市やオピドゥムと呼ぶ前線基地も各地にあった。
前おきはこれくらいにして、さあ、ガリア・ローマへ旅立とう。
|