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旅のはじめでいきなりつまずいた
2007年4月、パリに向かうエール・フランス機は強い偏西風の影響で遅れていた。シャルル・ドゴール空港についたのは結局1時間以上の遅れで、大急ぎで乗り継ぎのマルセイユ行きの搭乗口に向かったのだが、ゲートが閉まってるじゃないか。ゲートにいたお姉さんに「どうしてくれるねん」と聞いても、「インフォメーションデスクへ行ってください」としか言わない。どうやら定刻に出発してしまったらしい。到着便の機内でもなんの案内もなかったし、ちょっと不親切じゃないの?で、インフォメーションへ行ってみたら、こんなのは日常茶飯事みたいで、きれいなお姉さんが「明朝一番の便とホテルを手配しましたから、今夜はゆっくりお休みください」とにこやかにおっしゃった。
まあしゃあないわな、と諦めて手配のバスに乗るとあちこちの乗り継ぎを逃した客でいっぱいだ。ホテルに入って、とにかく今夜宿泊予定だったエクサン・プロヴァンスのホテルにキャンセルの電話を入れねばということで公衆電話の前に並んでいたら、ひどくうろたえた様子の日本人母娘がすがるような視線を送ってきた。事情を聴くと、ヴェニスで料理人修行中の娘さんを訪ねるはずが我々同様乗り継ぎ便を逃したのだという。空港まで迎えに来るはずの娘に連絡しようにも公衆電話の使い方もわからないし、イタリア語どころか英語もおぼつかないので途方に暮れているのだそうだ。
そこで連れ合いの出番となり、娘さんが働いているというホテルに電話をかけた。娘さんは休暇を取っていたのだが、幸いフランス語が通じて娘さんには事情を伝えてもらえることになった。母娘からは大いに感謝されたのだが、このふたり、よほどショックが大きかったらしく、夕食のビュッフェ形式のレストランでもふさぎこんでいる。同じテーブルに誘って、こんなことはよくあることらしいし、しっかり食べておいた方がいいよ。と勧めてもジュースを一杯飲んだだけだった。とっくに諦めてる我々は、生ハムとサラダの前菜に始まってステーキにポテト、生ビール、フルーツとチーズのデザートからアイスクリームにコーヒーと、ビュッフェながらフルコース食っちまった。なんだか気の毒だったね。 |