Ecole de français du Kansai -Traduction, Interprétariat, Guide- | |||||||||||||||||||||||||
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157. Lirac(リラック)ローヌ:1947。南部ローヌ、ガール県のRoquemaure(ロックモール)、Saint-Laurent-des-Arbres(サン・ローラン・デ・アルブル)、Saint-Geniès-de-Comolas(サン・ジュニエ・ドゥ・コモラ)という3つのコミューンの村名アペラシオン。地域圏としては南西部Languedoc-Roussillonに位置するが、コート・デュ・ローヌに含まれている。土質は石灰岩地帯に見られる
lœss(ルッス)と呼ぶ黄色や赤のテラロッサで砂を多く含み、畑の表面はガレ・ルーレに覆われている。 赤(80%):アッサンブラージュの比率の違いで2種ある。一つは、主要品種グルナッシュ(80%以内)。補助品種シラー、ムールヴェドル(合わせて20%以内)。アクセサリー品種サンソー(少量)。もう一つは、グルナッシュ(50%以内)シラー、ムールヴェドル(各25%以内)、アクセサリー品種サンソー(少量)。輝きを持つ濃いルビー色。赤や黒の果物の香りにカシワの葉やスパイスのニュアンス。熟成するとなめし革、甘草、トリュフ、カカオなど複雑なアロマが生まれる。果実味に溶けたきれいなタンニンで特徴的なまろやかさを持つ。シカやイノシシのプロヴァンス風かアヴィニョン風の蒸し焼きや赤ワイン煮込み、アカシカの赤ワイン煮込み、トリュフを添えた野ウサギの赤ワインソースなどジビエとの相性が抜群。仔羊のグリルやアントルコートなどにも合う。熟成期間5~10年。よい年のものはさらに長期熟成が可能。 ロゼ(15%):赤と同じ品種。濃い目のバラ色。イチゴやフランボワーズ、赤い果実のアロマ。フレッシュでフルーティな味わい。アロマに満ちた余韻が長い。シャルキュトリやチーズとの相性がいい。アジア風の料理にも合わせられる。2~4年のうちに飲む。 白(5%):グルナッシュ・ブラン(20%以内)、ヴィオニエ、マルサンヌ、ルーサンヌ(合わせて80%以内)。輝きを持つ澄んだ黄金色。アカシア、シナノキ、フェンネルなど白い花、白桃、リンゴ、トロピカルフルーツなどが混然となったアロマ。熟成すると蜂蜜やgarrigue(ガリッグ)と呼ぶ石灰岩地帯特有の林に育つ草花のニュアンスが現れる。ほどよい酸味がありフレッシュでフルーティ。海産魚のグリルや生の貝類、甲殻類、シェーブルチーなどとよく合う。2~3年のうちに飲む。 158. Luberon(リュベロン)ローヌ:1988。南部ローヌ、Vaucluse(ヴォークリューズ)県の37のコミューンに認められた地域アペラシオン。かつてはCôtes du Luberon(コート・デュ・リュベロン)と呼ばれていた。土質は石灰質粘土。 赤(32%):主要品種シラー、グルナッシュ、ムールヴェドル、カリニャン、サンソー。補助品種Picpoul noir(ピクポル・ノワール)、Counoise(クノワーズ)、ガメ、ピノ・ノワール。紫を帯びた濃いルビー色。黒い果物やスパイス、トリュフのアロマ。ゆったりして上品な果実味がありグルマン向きの味わい。ノロなどジビエの赤ワイン煮込み、赤身肉のローストかグリル、シャルキュトリ、川魚のワイン蒸し、ウォッシュタイプのチーズとの相性がいい。熟成期間3~8年。 ロゼ(47 %):セパージュは赤と同じ。やや濃いザクロ色。赤い果物の活き活きした香りとコクのある味わい。鶏やウサギなど白身肉の赤ワイン煮込み、仔牛のレバーの蒸し焼き、豚肉とキノコのクリームソースなどに合う。熟成期間1~5年。 白(21%):主要品種グルナッシュ・ブラン、ユニ・ブラン、ヴェルメンティーノ、クレレット、ブールブラン。補助品種ルーサンヌ、マルサンヌ。澄んだ淡い黄金色。モモやアプリコットの香り、華やかで調和の取れた味わい。アペリティフとして楽しむほか、魚料理全般、生の貝類、鶏肉のクリームソースなどに合う。若いうちに飲む。 リュベロン地方は美しい村がいくつもあることで知られ、歴史的にも興味深い地域である。「フランスの最も美しい村」に登録されているGordes(ゴルド)やRoussillon(ルシヨン)、ロマネスク建築が美しいAbbaye Notre-Dame de Sénanque(セナンク修道院)など見どころがたくさんある。 159. Muscat de Beaumes-de-Venise(ミュスカ・ドゥ・ボーム・ドゥ・ヴニーズ)ローヌ:1945。南部ローヌヴォークリューズ県のBeaumes-de-VeniseとAubignan(オービニャン)という2つのコミューンでミュスカ100%で作られる極甘口白ワインVin doux naturel(ヴァン・ドゥー・ナチュレル)だけのアペラシオン。土質は、産地北寄りは石灰質粘土、南寄りは砂質粘土。 ミュスカ・ア・プティ・グレンの白色種と黒色種両方を使う。ワインの色によって白ブドウだけを使うVin doux naturel blanc、黒ブドウを一気に絞ったジュースと白ブドウを使う Vin doux naturel rosé à ambré、黒ブドウを果皮ごとマセラシオンして仕込むVin doux naturel rougeの3種あるが、赤はごくわずか。いずれも果汁1ℓあたりの糖度が230g以上まで完熟したブドウを使う。極甘口で長期保存が可能。地元のドメーヌには1898年のものが保存されている。 白は澄んだ淡い黄金色。ロゼは澄んだ琥珀色。香りと味にはさほど差はない。マンゴー、ライチ、桃、アプリコット、蜂蜜、白い花などリッチでエレガントなアロマがくっきりと立ち上がる。とろりとして滑らかな均整の取れた口当たり、優雅な後香と余韻の長さはソーテルヌを凌駕するともいわれる。食前酒ならフォワグラやパテと、デザートワインとしてカスタード・プディング、チョコレート、アイスクリームに。また、メロンなどの甘いフルーツとも合う。ブルーチーズを合わせるのもいい。また、スズキのグリルなどに添えるsauce au vin muscat(ソース・オ・ヴァン・ミュスカ)という贅沢なクリームソースに使われたりもする。6~8℃で供する。若いうちから飲めるが、よい年のものは30年以上の保存も可能。 画像は137. Beaumes-de-Venise参照。
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