Ecole de français du Kansai -Traduction, Interprétariat, Guide-
二つ星ホテルは気を付けよう
はじめに
トゥルーズToulouse

カルカッソンヌCarcassonne

ロカマドゥールRocamadourと
ロスピタレL’Hospitalet
スーイヤックSouillac
クロマニョン人の故地
あとがき―パリにて―
附:この旅で訪れた世界遺産
あとがき―パリにて―

パリ最古の教会など

  帰国前日、パリで見たかったサン・ジャックの塔La tour Saint-Jacques を訪ねた。セーヌ川をはさんでノートル・ダム大聖堂の北側にあるこの塔はかつてサン・ジャック教会があったところで、サン・ティアゴ・デ・コンポステラの巡礼路のうちトゥールの道のパリにおける起点である。巡礼者たちはここを出発してセーヌ川を渡り、サン・ジャック通りを南下したのだ。この通りに面してノートル・ダム大聖堂が建てられているのだから、パリの宗教施設としてこの塔の重要性がよくわかる。
  ところがだ、行ってみたら塔はてっぺんまで足場と工事用シートに覆われてるじゃないか。事前にインターネットでも下調べはしてきたのだが、修復工事中なんて聞いてないぞー。
  ということで、塔の頂上の彫刻がちらりとかいま見えただけであった。

  パリ最古の教会はサン・ジェルマン・デ・プレ教会St-Germain des presだが、サン・セヴラン教会St-Severinもロマネスク様式の建築だ。どちらも石造建築で本来白っぽい石を用いていたのだろうが、大都市の中にあって黒ずんだ姿が痛々しい。内部は後世手が入れられているところが多いが、くすんだ色の12世紀のフレスコ画が古い歴史を物語っている。
  サン・セヴラン教会ではおりしも夕方のミサが行われており、パイプオルガンが演奏されていた。大型のパイプオルガンの演奏を生で聞くのは初めてだ。腹の底に響くような音を想像していたが、想像以上だ。全身の骨格がどうにかなりそうな重低音は他のどんな楽器でも作り出せないだろう。いやあほんとに運がよかった。サン・ジャックの塔が見られなかった不運は帳消しだな。

  余談だが、夕食はモロッコ料理を食べに行った。パリのアラブ料理は定評がある。以前うちで作ったクスクスがひどく不味かったので、ほんとはどういうものか確認してみようと思ったからである。入り口にいた客引きの女の子は「チョーオイシー」(まったく、外国人に教えるなら美しい日本語を教えろ)と言っていたが、結論は「やっぱりクスクスは不味い」。うちの食卓に上ることはもうないだろうな。いや、クスクスにかけて食べるソーセージのスープや羊肉の煮込みは旨かったよ。クスクスに混ぜることでわざわざ不味くするんだな。だけど一人前に大きな土鍋一杯のスープは、食べきれんだろう。
  もうひとつ余談。サン・セヴラン地区にはギリシャ、インド、中華、日本など各国料理の店がたくさんあるが、寿司屋の前を通りかかったら、窓際のフランス人らしい客が皿に盛り合わせた寿司をナイフとフォークで食しているのが見えた。本人は旨そうに食っていたが、見ているこちらはさぞ不味いだろうねーと思ってしまった。生の魚に金属の食器は禁物である。試しにフォークで刺身を食べてみるがいい。なにかすえたような無機質の味が加わっていやな気分になるはずだ。うまい寿司は手でつまむか、箸を使うなら利休箸にかぎる。