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フランス最大の中世城砦遺跡
カルカッソンヌ Carcassonne
トゥルーズからTGVで30分ばかり東へ行ったところにその町はある。TGVでなく、普通の特急でも45分ほどだということで、まあ1時間に1本ぐらいはあるだろうと思っていたのが大間違い。10時半ごろの列車を逃したら午後2時半ごろまで鈍行もなかった。時間をかけてみることは無理だろうが、旅の主要な目的地の一つだからとにかく行こうということで列車に飛び乗った。
この町はフランス最大の中世城砦都市遺跡であり、世界遺産にも登録されていることでつとに有名である。実はこの城砦、廃墟と化していたものを19世紀に建て直したものだが、実際眼前にするとそんなことを感じさせない威容がある。
カルカッソンヌの駅を出ると目の前をミディ運河が流れている。駅前の橋のすぐ下に水位を調節するための閘門があり、小型の船が何隻か収まるくらいのプールが造られている。パナマ運河などとは比べ物にならない規模だが、曲線的な石積みの優美な姿を残している。
丘の上の城砦シテLa Citeまでは歩いて20分ほどだ。駅前から広がる町並みは「下町Ville Basse」と呼ばれており、いろんな店もあって結構賑わいのある町だが、ここも13世紀、聖王ルイ9世の時代には形成されていたという歴史ある町並みだ。
石畳の道は丘に向かって緩やかに上がっていく。ただ、この日は日曜日だったのでたいがいの店はお休み、インフォメーションまで閉まっていたので、日ごろの賑わいはなかったのだろう。しばらく進むと、オード川にかかるポン・ヴューPont
vieux(旧橋)に出る。真ん中が盛り上がった狭い石造の土橋で、この橋の上から望む威圧的なシテの遠景は必見である。
そこから急な坂道を登りつめてやっとシテの外壁にたどり着く。シテは二重の高い城壁に囲まれており、城壁の要所に塔が立っている。その二重の城壁を抜けて中心に向かうのがまた一苦労で、やっとたどり着いたら有料ゾーンはもう閉まっていてがっかりした。トランカヴェルの城の中を見ることはかなわなかったが、気を取り直してサン・ナゼール教会や城壁など外回りだけでも見てまわることにした。その前にこの町の歴史を少しおさらいしておこう。
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