|
自分なりのあやうさ
自分の専門分野の幅を広げるためにフランス語が必要になってきた時でした。
フランス語の文献を読まないと情報が得られない。
それでも専門領域なので、辞書を片手に読み進めるうちに理解できたと高をくくっていたように思います。
時間の問題だけだと思っていました。
この考え方・・・このクラスの授業に初めて参加した時、根本的なところで打ちのめされました。
私たちに専門があるように、「フランス語」を専門とされている人たちの専門性、語彙のもつ意味合いの豊かさ、文脈から拾い出し変換する「単語」の明晰さ・・・
私たちを前にして授業されている「先生」に、自分の専門分野に切り込んでこられた時の状況を想像しただけである種の恐怖すら感じました。
自分の専門分野に関するテキストなのに、「フランス語」が介在するだけでそれまでに積み上げてきた知識だけでは通用しない。「専門性」だけでは太刀打ちできないフランス語の専門家による読解の「正確性」。だから外国のことをするのは難しいと改めて実感させられました。
これは、時間をかけさえすれば自分なりに解決できるとか、追いつけるとかいう次元の話ではありません。
このクラスで出会ったのは、それこそ「自分なりに」では済まされない異なる専門性への挑戦でした。
辞書を片手にこつこつと自分で組み立てた「論理」が、根本的に見直しを迫られる?
それもたった一言の「単語」で?
それでも、専門領域で興味を持ったことを突き詰めていこうという意志を固めた以上、ここでへこたれてなんかいられません。
確実に読めるようになるために専門の方から学べるだけ学ぼうと、このクラスでもがいてきました。そして、そんな地道な努力などしていないかのように、自分の世界を楽しく泳いでいます。
そこには確実な知識の積み上げがありました。
鍛えてもらった月日があったからこそ、今につながっているのだということを実感します。
仏→日 逐次通訳と翻訳(上級)クラス受講生
|
|
|
|