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ブルターニュ公国の古都
サン・ピエール大聖堂 Cathedrale St-Pierre
今はモルビアン県の県庁所在地となっているこの町はモルビアン湾の最奥に位置している。町の発展に伴い大半の城壁は壊されたようだが、旧海岸線に沿った城壁はよく残っていて古都の面影がある。モルビアン湾は静かな内海で、湾にちりばめられた島々を巡るクルーズ船やキブロン沖のベル・イルへの定期船の港がある。古くはガリア・ローマの駐屯地が置かれ、9世紀ごろにはアルモリカの首都だった。
県庁の駐車場に車を停めて旧市街に入っていくと、中心にサン・ピエール大聖堂がそびえ立つ。この教会は入り口の横の塔だけがロマネスク様式で、全体的にはブルターニュの地方色を加味したゴシックの建築である。
ブルターニュの教会建築に特徴的なのは、独特な石彫でしつこいくらい飾り立てることだ。キリストの事跡や聖人たちを表現した彫刻は、もとよりローマ・カトリックの教えを絵解きして見せるものでゴシック建築自体たくさんの彫刻で飾るものなのだが、ブルターニュで見る教会の彫刻は稚拙ながらごてごてしていてどこかおどろおどろしいものを感じさせる。教会の脇には青銅器時代の小さなメンヒルに十字架を刻んだものを運んできて立ててあるところなど、いかにもケルトがドルイド教を捨ててキリスト教に帰依しましたと言っているようだ。
だが、この教会はまだまだ都会的な方で、後に訪ねる田舎の教会ではもっとものすごいものを見せられることになる。
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