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セギュレとサブレ
ジゴンダスの北にセギュレSéguret とサブレSablet という二つの村があって、セギュレのほうはフランスの最も美しい村に登録されている。鷲の巣村のように山の上に築かれた町ではなく、山裾の斜面に家々が張り付いているような村だ。遠望すると淡いベージュに色彩が統一されていて、石灰岩の岩肌と緑の木々の間に村が溶け込んでいる。山の頂上には小さなシャトーがあるが、これもあまり目立つものではない。現在村の周囲は一面のブドウ畑で見晴らしはいいが、中世にはまだ森林が広がっていただろうから森の奥の隠れ里といった感じで遠くからは見えにくかっただろう。
サブレは小さな丘全体に築かれた村で、フランスの最も美しい村には登録されていないが、これまた美しい小さな村だ。赤っぽい屋根瓦のせいか、こちらの村は少し温かみを感じさせられるトーンで統一されている。人口は1300人ほどで「美しい村」の基本条件のひとつは満たしているが、何らかの理由で運動に参加していないのだろう。どちらの村も観光には力を入れていて、個性的なプチホテルやレストランが何軒もある。
二つの村は2㎞も離れておらず、あたりは広大なブドウ畑だ。村個別のAOPは取得していないがヴォークリューズ県Départemrnt Vaucluse の産地としてコート・デュ・ローヌ全体のAOPには含まれている。訪れた8月上旬はブドウの実が色づき始めたころで、黒紫になったものをつまみ食いしてみたが酸っぱくて渋い。完熟まではまだひと月以上かかるだろう。
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