|
フランスの絶景 ―サント・ヴィクトワール山―
この日の目的地は、南仏に来たらぜひ見ておかなければと思いつつ今まで訪ねられなかったサント・ヴィクトワール山Montagne Sainte-Victoire
である。その前に、これも絶対買わなければと思っていたカシCassis のワインを仕入れるために目星をつけておいたカブリエCabriès という町の郊外のワインショップに立ち寄った。ついでにスーパーにも寄って、サンドゥイッチ、サラダ、チーズにビールを弁当に買い込んだ。
サント・ヴィクトワール山はエクスの東にある石灰岩の山塊で、グラン・シト・ドゥ・フランスGrand site de France に指定されている。全国でわずか14か所しか指定されておらず、サント・ヴィクトワール山はその第1号だ。「勝利の女神の山」、フランス人はこの山に日本人が富士山に対して抱くのと同様特別な心を寄せているように思える。それはモンブランに対する思いにも勝るものかもしれない。
近づいていくと好天のもと白い石灰岩むき出しの山肌が連なって輝いて見える。山肌の表情も場所によってさまざまな変化を見せ、なるほど絶景だと納得した。エクスにアトリエを構えていたセザンヌがこの山にほれ込んで足しげく通い、いろんな角度からたくさんの作品を残していることで有名だ
が、さもありなんと思わせる。岩山の頂上には中世の山城や礼拝堂があったりするのだが、とんでもなく急な山道なのでついに登ってみる気にはなれなかった。
平日で観光客は少なかったが、家族連れが木陰で弁当を広げていたので我々も昼食にした。チーズとビールはうまかったが、スーパーのサンドゥイッチはパンがポソポソでやっぱりうまくない。
食後にヴィジターセンターを見学したが、この山に生息する昆虫や鳥獣の標本がたくさん展示してあり、思いのほか豊かな生態系があることを知った。ヴィジターセンターの裏に回るとロバが放し飼いになっている。説明版を見ると数の減っているプロヴァンス種のロバだという。周辺にはフェンネルなどのハーブがいっぱい自生していたのでちぎってロバに与えていたら、つれあいが「餌やり禁止って看板に書いてあるよ」と言う。言いながらつれあいも面白がって食べさせていたから同罪だ。
ここから北に向かう道の途中には美しい村が点在しており、その先も著名なワイン産地と美しい村が目白押しだ。セザンヌの道をエクスのほうに戻って北に向かおう。
|
岩山のピークに十字架と礼拝堂がある
|
|
|
|