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興奮の露天市
土日はこの広場が一面マルシェになって朝から大変な人出でごったがえす。海に近いためか魚介類の店が目立つ。牡蠣専門の店には日本でも知られているカンカルやモルビアンなどいろんなところから運ばれた各種の牡蠣が山積みで壮観だ。蟹や海老も専門店があって高級品のオマールもどっさり並んでいる。プルアルネルで食べたでかい蟹もある。
興味を引かれたのは皮付きの大きな豚バラの塊をローストしたもので、おそらくベーコンと同じように塩とスパイスで漬け込んだものなのだろうが、トラックの後部が巨大な垂直のロースターになっていてそこにぶら下げて炙っている。見るからに旨そうだったのだが、こういうのを買えないのが旅行者の悲しいところだ。
ブルターニュらしいのはガレットの屋台で、なにも挟まないプレーンやハムを挟んだだけの手軽なものを2ユーロぐらいまでで商っている。これを買ってカフェでコーヒーやシードルとともに食すのが休日の朝食の定番であるらしい。もちろんわれわれもそうした。
チーズの屋台も何軒かあっていろいろなチーズを売っている。前回オックの国の旅のトゥルーズのマルシェでは山羊乳のチーズにこだわったため柔らかいチーズばかりを買って帰ったのだが、今回はハードタイプとセミハードタイプのものに絞ってあれこれ探した。若い男がやっている一軒の屋台でぶどうの葉で包んだカベクーを見つけた。ロカマドゥールなどと同じオックの国の山羊乳のチーズだが、前回の旅では見つけられなかったものだ。十分熟成していて硬く締まっている。切り売りしている大きなコンテも目に付いた。トムはないかと聞いてみたら「今はシーズンじゃないよ」と笑われてしまったのだが、トムにシーズンなんかあるかい。在庫がないだけやろ。でも「コンテが最高に旨いから試食してみろ」と勧められ、本当に旨かったので半㎏ばかり買うことにした。テントの骨組みからイ草のようなもので縛った青かびの浮いた茶色いチーズがたくさんぶら下がっていて、これはなんだい?と聞いたら、フロマージュフュメだと言う。スモークチーズだ。しかも「俺が作ったんだ。十分熟成してるから何か月でももつよ」と言うんでそれもふたつばかり求めた。やっぱりマルシェは興奮するなあ。
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