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谷底の町モルレー Morlaix
なんか凄そうなおやじを見つけた
ブルトンの国の旅の終着点はモルレーという日本であまり知られていない町にした。西洋史を少し詳しく勉強した人なら、英仏百年戦争のさなかに起きたブルターニュ継承戦争で1342年にモンフォール伯=イングランド連合軍がシャルル・ド・ブロワ=フランス連合軍を破ったモーレイクスの戦いというのがあってそれで知っている程度なんじゃないかと思う。そんなことこちとらは帰国してからアンヌ・ド・ブルターニュのことを調べていて知ったことで、この町を選んだ理由はバルネネの大ケルンに近いということもあったが、訪ねてみたい店があったというのが最大の理由である。
ブルターニュのメガリスについて日本で紹介されているものはきわめて限られているため、手っ取り早くフランスのインターネットでいろいろ情報を集めたのだが、本家フランスでもいわゆるメガリスマニアみたいな人たちのホームページは結構見つかるのだが、学術的にきちんとしたものがあまり見当たらない。役に立つのは写真と位置情報ぐらいなものだ。バルネネのケルンについても片っ端からいろんなページをのぞいて歩いていたら、メガリスの記事はほんのわずかなのだが、モルレーの町の歴史や見どころ、モン・ダレーの自然などを紹介しているページがあった。そのときは一瞥して終わりだったのだが、おそろしく高い橋が町を横断している写真が妙に印象に残った。ところが後日ブルトンビールで検索していたら同じページが出てきたのだ。ページの隅っこに小さく写っている腕組みして満面の笑みを浮かべたひげ面のおやじは、どうもモルレーの老舗カフェの経営者で、あらゆる銘柄のブルトンビールを店で飲ませるらしい。しかもいろんな地場産品をプロデュースしていて、蕎麦を原料としたブルトンウィスキーとか蜂蜜を醗酵させて作った本物のミードなど珍しい品を商う店も経営しているようである。興味を引かれてホームページ全体を見返してみると、このおやじブルターニュに並々ならぬ愛情と誇りを持っていて、自らがプロデュースしたものはもちろん仕入れるものも自分の眼鏡にかなったいい物だけをそろえて自信を持って商売していることが伝わってきた。日本でも地方の地酒の蔵元などでたまにいるのだが、こりゃなかなかの人物と見た。で、そのオーロラというカフェを訪ねようと決心したのである。このおやじと店のことはあとでゆっくり紹介しよう。
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