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地の果て Finistère
ラ岬 Pointe du Raz
ラ岬はフィニステール半島の最西端で、ここがヨーロッパの地の果てだ。岬の付け根に広大な有料駐車場とレストランや土産物屋が集まった大きなヴィジターセンターのある一大観光地になっている。
岬の先端まではぶらぶら歩いても20分ほどだが、小型の無料バスも運行されている。遊歩道を歩いていくと、高い木がほとんど無く丈の低い潅木が生い茂っていて、年中吹く強い風に押されるように内陸に向かって傾いでいるのが荒涼とした雰囲気を醸し出している。いたるところに木苺がなっていて、黒っぽく熟したものを摘んでは口に放り込みながら歩いた。木苺は他のところでもよく見かけた。日本の山で出会うものより少し硬い感じで種も大きいように感じたが、味は悪くない。ビールやシードルばかり飲み歩いている旅先ではいいビタミン補給だ。
先端にたどり着くと強い西風が吹き付けてきて、沖には白馬の群れのような白波が逆巻いている。ごつごつした岩だらけの岬の突端は切り立った崖になっていてはるか下は恐ろしいような荒磯に激しい波が打ちつけている。フィニステールでは晴天の日のほうが珍しいらしくこの日も雲が垂れ込めたような曇天で9月だというのに肌寒く、沖合も暗くかすんでいた。冬にはもっとものすごい波が打ち寄せることをヴィジターセンターに展示してあった写真で知ったのだが、想像できるなあ。これで野生馬でもいたら下北半島の尻屋崎みたいだ。すぐ沖にある岩礁に建つ灯台は何とか見えたのだが、さらに沖合にあるセイン島Ile
de Sein、かつてドルイド僧が死ぬとその遺体が運ばれたという島を目視することはできなかった。 |