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地の果て Finistère
馬の頭岬―開かずの博物館―
カンペールから南西に40㎞ほど行くとパンマルシュ岬Point de Penmars’hがある。馬の頭という意味のブルトン語だ。付近にはいくつかのドルメンやメンヒルが散在している。その近くのサン・ゲノレSt-Guenole という海辺の村にフィニステール先史博物館Musee prehistorique Finisterien がある。行ってみると古い倉庫のようなおよそ博物館らしくない建物だ。中に入ろうとしたら閉まっている。入り口のドアに汚い張り紙があって、木曜と金曜に開館していると書いてあるが、入り口のガラス窓から中をのぞくと古びた埃だらけの展示ケースが雑然と並んでいて陽に焼けた説明書きなども見え、本当に開いてるんだろうかと思ってしまった。雰囲気的には個人の収集家の博物館という感じで、内部を見学できなかったのは残念だったが、前庭に移築されている“プルイネックの通廊式ドルメン”dolmen de Plouhinecや青銅器時代から鉄器時代のメンヒル、箱式石棺などを見ることができた。
さらに北へ少し行くと、砂浜から小さな岩山が海に突き出たラ・トルシュLa Torche という岬があり、付け根の広い駐車場に車を止めてぶらぶら登っていくと、その先端に何基かの崩れかけたドルメンが半分砂に埋もれるように残っている。“ラ・トルシュのドルメン群”dolmen
de La Torcheだ。ドルメンの主軸は東西で、まるで海をにらんでいるようだ。ドルメンのあるあたりからはフィニステールでは珍しく九十九里浜のような長い砂浜の海岸線がずっと北へ続いており、北西に目をやるとはるかラ岬を望むことができる。海岸にはけっこう高い波が次々打ち寄せているので、サーファーやウインドサーファーがたくさん出ていた。
カンペールからパン・マルシュ岬に向かう途中、ポン・ラベPont-l’Abbe という町のクレープリーで昼食をとった。小さな入り江の奥の少し大きな町で、運河のような川沿いにこじんまりとまとまった旧市街にはゴシック様式の立派な教会や博物館などもありけっこうにぎやかな町だ。店の名を忘れてしまったのだが、小さな店で奥がオープンテラスになっている。こちとらはハム、チーズ、トマト、オニオンのコンビ、つれあいはきのこと卵のガレットを頼んだ。ハムは大きなジャンボンブランを使っていていい味だった。この旅の間中昼食はガレットで通したのだが、どこで食べても当たり外れのない味で、大阪のお好み焼きみたいなもんだと思えばいい。つれあいはイチゴのクレープも頼んでいたが、これが甘いなんてもんじゃなく、くそ甘い。
ちなみにビールはTelenn du Lancelot という黒ビールを飲んだ。アーサー王物語の英雄、荷馬車の騎士ランスロットだ。どっしりとした辛口でこれは旨かった。
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