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航空写真で見つけたローマ遺跡
ル・ピュイでの昼食後、再びローヌ川流域を目指して南東に車を走らせた。国立自然公園になっているアルデッシュ山塊を抜けて国道102号をしばらく走るとアルバ・ラ・ロメーヌAlba la Romaine という小さな村がある。ル・ピュイのあるオーブラック地方は火山地帯なので、アルデッシュ山の東麓にはヴァル・レ・バンVals les Bains などいくつかの温泉がある。ガロ・ローマの遺跡はないようだが、温泉好きとしてはぜひ寄ってみたいと思っていろいろ調べてみても療養目的の長期滞在が主流で、日本の温泉地のような立ち寄り湯はなさそうなのであきらめた。
アルバ・ラ・ロメーヌは冒頭に書いたグーグルアースで見つけた村だ。地名を頼りに航空写真を拡大していくと、村の北外れに半円形の劇場らしき構造物を見つけた。よく見るとほかの建物の遺構や南北の道路もあるらしい。フランス語の情報サイトで調べると確かにガロ・ローマの遺跡がある。それ以上詳しい情報は手に入れられなかったが、航空写真で見つけたといううれしさで訪ねてみることにした。
「エルヴィアンの町Cité des Helviens 」というその遺跡は、設置されていた説明版によると前1世紀に築かれて4世紀まで続いた植民都市である。Site
とは書かれていないからエルヴィアン遺跡ではない。半円形劇場は小川で分断されており、階段状の客席も大半の石材が抜き取られていて、発掘調査で分かった段差を石垣で表現してあるから決して残存状態がいいとは言えない。劇場の西側には東西南北に区画された街並みがあり、マクシマス大通りと呼ぶ石畳のメインストリートに沿って商店街の建物の基壇が並ぶ。発掘調査が行われてからそれほど時がたっていないようで、あちこちに発掘残土の山があり、小さな土器片やモザイクに使われた色とりどりの石片が雨に洗われて顔をのぞかせていた。遺跡全体が発掘されたわけではないが総面積は30ヘクタールほどもあるらしく。すこし北に離れた場所では立派な貴族の邸宅跡なども見つかっている。
周辺は一面ブドウ畑で、黒ブドウが実りの時期を迎えている。遺跡の中で野生化したブドウの木があったのでつまみ食いしてみたら、これもとてつもなく甘かった。ここまで完熟すると種を噛んでもナッツのようでほとんど渋みを感じない。2010年も「並外れた年Année exceptionnele 」になることは間違いなさそうだ。
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