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ガリア・ルグドゥネンシスからパリへ
我々のガリア・ルグドゥネンシスの旅は終わった。
ローヌ川中流域の景観は下流域と大きく異なっていて新鮮だった。ローヌ川はリヨンあたりでも十分な水深があり、現在もかなり大きな船の運航が可能だ。ローマ時代、ヴィエンヌに大規模な港湾都市が築かれたことも納得できた。リヨンやヴィエンヌに築かれた植民都市の壮大さはニームやアルルに劣らないもので、ケルト人やゲルマニア人にローマの強大さを見せつける効果は極めて大きかっただろう。
地質を見ると、石灰岩で形成されたフランスの国土の中で特にオーベルニュの火山地帯の自然美には目を見張った。そこにもやはり独自の文化があり、人の暮らしがある。このあたりの基盤層も石灰岩なのだが、アルプスやピレネーの造山運動を引き起こしたアフリカプレートとヨーロッパプレートのせめぎあいがフランス中央部の地殻を薄く引き伸ばしていくつもの火山が生まれたのだ。プレート衝突が落ち着いている現在は地下の浅いところにマグマはない。
今回の旅での食事とワインには大満足だった。けっして大金を使ったわけではなかったが、フランスでは田舎に行くほど食い物は美味くなるし人も良くなると思う。地産地消の原則が貫かれているからだろう。そりゃあパリだって大枚をはたけば美味いものは食える。ワインだってチーズだってフランスじゅうのもので手に入らないものはないだろう。だが、料理と特に人に関しては、どうしても田舎に軍配を上げてしまう。やっぱりパリは好きになれん。
サン・ロマン・アン・ガルからはまっすぐリヨン・サン・テグジュペリ空港に戻り、パリへ向かった。プロヴァンスでの時間をフルに使ったため、帰国便の乗り継ぎの関係でパリに1泊することにしていた。
この年の2月に1週間連泊したオテル・サンルイを予約しようとしたら満室ということで、バスティーユ広場の近くの別館を予約していた。結構時間があったのでこちとらは2月に見足りなかったポンピドゥーセンターへ、つれあいはケ・ブランリー美術館に出かけた。ポンピドゥーセンターで落ち合ってホテルに戻る途中、パリ警察の中庭でかつての国王親衛隊の制服を着た大統領親衛隊のパフォーマンスを見たりサンルイ島で買い物したりしてバスティーユまで来たところで同性愛者の権利擁護を訴えるデモに出くわした。派手なファッションの若者たちがトラックを連ね、大音量でポップスを流していて、アヴィニョンで見たトロツキストのデモとは大違いなところと変に似たところがある。
夕食はバスティーユ広場の近くで見つけたジビエ専門のレストランに食べに行った。こちとらは森鳩のロティというのを頼んだのだが、これが血みどろのレアでギョッとするほどの見た目だったが、しっかりした噛み応えのある肉質で今まで食べた鳩の中では一番うまかった。つれあいはおとなしくシカ肉のステーキ食べていたがね。
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大統領親衛隊 |
ゲイの権利擁護を訴えるデモ |
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