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ミディ運河 Canal de Midi
トゥルーズには、ロマネスク建築以外にもその歴史を物語る建造物がいくつもある。
旧市街の東側にはミディ運河が流れている。石積み護岸で、流れはゆったりとしており、河岸には緑道が整備されている。随所に架かる橋は、船を通すため結構高い。世界遺産に登録されているこの運河はトゥルーズ市民の誇りでもあるらしく、ブラニャック空港から乗ったタクシーの運転手が、「ほら、これが運河だよ」と最初に町の案内をしてくれたところである。
ミディ運河は、地中海と大西洋を水運で結ぶため17世紀に開削されたもので、地中海の港町セートSete を東の起点とし、トゥルーズに至る240㎞の間をいくつもの水門や人工池で水位を調節しながらガロンヌ川につないでいる。北西に流れるガロンヌ川はボルドーからジロンド川と名を変え大西洋にそそぐ。国内で地中海と大西洋の距離がもっとも狭い場所とはいえ、セートからボルドーまでは500㎞ほどもある。しかし、この運河の完成によって東西の物資のやりとりが飛躍的に増え、フランス南部の商業が大きく発展したことは間違いない。なにしろスペインやポルトガルの海賊と戦わなくてもよくなったのだから。
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